なぜ統合報告書が重要視されているのか?有価証券報告書の時代から統合報告書の時代へ。

なぜ統合報告書が重要視されているのか?

 

「統合報告書の発行数が増えている」

 

 

「欧州では統合報告書が重要視されている」

 

 

そんなデータを目にしながらも、なぜいま統合報告書が重要視されているのか?ということを疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。

 

 

今回は、現代のディスクロージャー制度に注目し、どうして統合報告書を発行することが重要なのかについてご紹介したいと思います。

 

 

開示は有価証券報告書だけで十分なのか?

開示は有価証券報告書だけで十分なのか?

 

 

現代の企業の主な開示として、有価証券報告書や四半期報告書、決算短信などが挙げられます。

 

 

これらは主に企業の業績を報告するために発行するものであり、財務三表を公開することで投資家に有用な情報を開示する目的で作成されます。

 

 

それでは、ひな型に基づいて作成されるこれらの開示書類を発行することで、本当に投資家にとって十分かつ有用な情報を開示できているのでしょうか?

 

 

低下した会計情報の有用性

 

Do the FASB’s standards add shareholder value?

 

 

こちらの記事では、コロンビア大学経営大学院によって行われた研究の結果が公開されています。

 

 

研究の内容はタイトルにもあるように、「FASB(財務会計基準審議会)の作成した会計基準は株主の価値を高めたのか?」という刺激的な内容。

 

 

Abstract(概要)にも示されている通り、結果としては「138の基準のうち104の基準は株主価値に何の影響も与えなかった」「19の基準は価値を低下させた」といった結果となっています。

 

 

複雑化する会計基準

 

 

また、新たな会計基準が追加されることによって利益の計算過程が複雑化した結果、投資家やアナリストたちによる利益予想が難しくなったという指摘もあります。

 

 

というのも、減損損失などの一時的な収益・費用項目が多くなった(一時的項目の利益に占める割合の増加データも提示されている)ことにより、

 

企業の利益が安定的に推移しなくなってきたため、利益を予想することが難しくなっているのです。

 

 

例えば、「Netflixの会員数が20%増えた」という場合と「Netflixの利益が20%増えた」という場合では、投資意思決定に与える影響も異なりますよね。

 

 

利益が増えたと一言にいっても、当期だけ臨時的な影響で出た収益があるかもしれないという可能性を検証する必要があるからです。

 

 

それほどまでに、会計情報の有用性が低下した(完全に0ではないものの)ということです。

 

 

投資家に有用な情報とは何なのか

 

 

投資の最終的な目的は、「安く買って高く売る」ということです。

 

 

端的に言えば、今より高く売れると感じたときに購入を決める(投資目的にもよりますが)ものです。

 

 

投資家が気にしているのは、ビジネスの収益構造(ビジネスモデル)などをはじめとする情報であり、中長期的な価値創造のビジョンなのです。

 

 

加えて、近年では短期で株式を売買するのではなく、ゼロサムゲームに参加せず一回の売買で大きな利益を上げるべく、中長期で株式を保有する投資家も増えました。

 

 

このような投資家にとっては、タイムリーな利益の推移を負うことはもはや重要ではなく、投資先企業の外部要因によるリスクへの対応状況や、

 

長期的に価値を毀損することになるような問題点がないかどうかなどの情報が重要になるのです。

 

 

 

そのような情報はどう開示するのか

 

厳しい監査を受けている上場企業では特に、ひな型が指定されている有価証券報告書上で、自由に情報を開示することは困難です。

 

 

さらに、ESG投資家などの要求により、環境保全に関する情報の開示や、中長期的な価値形成に大きくかかわるガバナンスの状況などを開示する必要も出てきました。

 

 

そのような要求にこたえるのが統合報告書です。

 

 

国際統合報告評議会(IIRS)によりフレームワークは公開されているものの、形式を遵守することが法的に要求されているわけではなく、有価証券報告書と比較して自由な記載が認められています。

 

 

統合報告書では、企業の長期的なビジョンとそれを達成するための戦略などを、非財務情報を含めたエビデンスをもとに開示し、

 

我々はどのようにして中長期的な価値を創造していくのか?

 

ということを投資家にアピールすることになります。

 

 

まさに、投資家のニーズに合致した情報を開示する媒体であるということです。

 

 

具体的に、どんなことを記載するのかということについてはこちらの記事を参照ください。

 

統合報告書とはなにか?新しいディスクロージャー制度の在り方。
SDGsやESG投資などが世界でトレンド化(むしろ、守らなくてはならないという共通認識が生じている)し、企業は環境を意識した経済活動を行わざるを得なくなりました。 生産活動に環境破壊が伴うような企業はすぐにメデ...

 

 

高まる非財務情報の有用性

高まる非財務情報の有用性

 

 

もちろん、会計情報の有用性が完全になくなったということではありません。

 

 

しかしながら、会計情報の有用性の低下は認めざるを得ない事実であり、これからは非財務情報を開示することによって、企業の将来性をアピールする時代にシフトしていきます。

 

 

企業の中長期的な価値形成の可能性をアピールする媒体がまさに統合報告書であり、欧州ではもちろんのこと、日本でも統合報告書の発行数は大企業を始めとして徐々に増えてきています。

 

 

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