「お金はあっても、欲しいものがわからない」
「自分は変なのだろうか」
と考えているあなたへ。
欲しいものがわからないという気持ちは、必ずしも悪いことではありません。
今の日本経済においては、生活必需品はすべて容易に手に入る状態であり、
「生活に必ずしも必要でないけれど便利な物」を少しずつ買うという生活を誰もが送っています。
そんな中で、人の物欲によっては「欲しいものがわからない」という心理状況の人も当然いることでしょう。
今、なぜ欲しいものがわからない状態の人が増えているのかについて、日本経済を紐解くことで考えてみましょう。
大量生産、大量消費の時代
1960年代、日本は技術革新が進み、「大量生産・大量消費」の時代を迎えました。
「技術革新が進んだから、大量に生産することができた」
というと、それもそうなのですが、やはり企業が大量に生産できた要因は、
「人々が大量に消費してくれた」
ことにあります。
当時は、作ったら作った分だけ売れるような時代だったのです。
人々の需要低下について考えることがあまり必要ではなく、「便利な生活必需品」がたくさん生産され、たくさん消費されていきました。
それと同時に、「水俣病(1957年)」などの四大公害が問題になり始めたのもこの時期です。
企業は、環境の保護を考えずに生産活動を行ってきました。
バブル崩壊、モノが売れない時代へ突入
大量生産・大量消費の時代もじきに終焉を迎えます。
生活必需品が人々の手元にある状態になると、モノを売るという行為が難しくなるのです。
今もみなさんの手元にはスマートフォンやエアコン、リモコンと連動した電気など、便利な生活必需品が揃っていると思います。
もうこれ以上はなくても良いと思えるような状態がみんなに訪れると、革新的なイノベーションを利用した製品以外(AppleのiPhoneなど)のものは、魅力的に見えなくなってくるのです。
いま「欲しいものがわからない」という気持ちも、おかしいことではないなと思えてきたのではないでしょうか。
悪いのはあなたではなく、欲しいものを作ることができない企業なのです。
そして現代、新しい経営の在り方
今までは、生産活動には環境破壊が伴うという考えが一般的でしたが、これからは違います。
現代では、環境の改善活動と生産活動を同時並行で行うという考え方が主流になってきています。
これが、SDGsやESG経営と呼ばれ、今や世界でトレンドの考え方となっています。
なぜSDGsが流行しているのか?
ここまでSDGsが流行している原因として「地球のため」というのはもちろんそうなのですが、企業側にも大きなメリットがあります。
先程も述べたように、企業は生活に必要なモノ(iPhoneなどのなくてはならないもの)を生産することによって大きく成長することができます。
しかしながら現代では、生活に必要なモノはそろってきていて、それを生産することは難しくなってきました。
それでは企業は、モノを作ってもうまく売ることができないのでしょうか?
それも少し違います。
地球環境にとってプラスになるような生産活動をしているような企業は、みなさんにとって「生活に必要なモノ」なのではないでしょうか?
そのような企業の製品は、消費者から求められる存在となるのです。
いわば、「生活に必要なモノ」を創り出す手段が「地球環境を守ること」へとシフトしていっているのではないでしょうか。
マイケル・ポーター氏の経営理論「CSV」
地球環境にとってプラスの生産活動を行うことは、モノを売るための手段であり、もはや企業にとっての経営戦略なのです。
製品を売ってお金を得るという経済的な価値と、地球環境を守るという社会的な価値を両立するという経営戦略を、CSV(Creating Shared Value : 共通価値の創造)と呼びます。
ハーバード・ビジネススクール経営大学院の教授、マイケル・ポーター氏は2012年に自身の論文でこの概念を提唱しました。
「企業は些細な市場シェアや利益を獲得するために競争することはもはや本当の価値ではない。これからは、社会的価値と経済的価値の両立が大きな価値を生み出す」
と彼は言います。
CSVについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。


マイケル・ポーター氏のTED Talkでの登壇(共通価値の創造)
「欲しいものがわからない」
そんな壮大なテーマを掲げてこの記事を執筆してきましたが、これからの企業は地球環境を守るために生産活動を行っていくようになると私は思います。
その時、我々ができることは自分が応援したい企業の製品をチェックして買うことではないでしょうか。
これまで、スポーツに熱心に取り組んできた人であれば、体の不自由な人の運動を支援する企業を見つけ、そのような企業の製品を買ってみるという楽しみもあると思います。
Wemeeでは、そんな企業の製品をみなさんにわかりやすく、その製品の魅力を伝えていけたらいいなと思います。
ぜひProductの記事も読んでみてください。
あなたの欲しい商品が見つかるかもしれません。

