統合報告書とはなにか?新しいディスクロージャー制度の在り方。

統合報告書とは?新時代の開示制度と統合報告

 

SDGsやESG投資などが世界でトレンド化(むしろ、守らなくてはならないという共通認識が生じている)し、企業は環境を意識した経済活動を行わざるを得なくなりました。

 

 

生産活動に環境破壊が伴うような企業はすぐにメディアに取り上げられ、消費者の批判の的となる、そんな時代になりつつあります。

 

 

水源枯渇で話題になったボルヴィックだけじゃない!日本にもある「水源枯渇」のリスク(東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース
 フランス産のペットボトル水「ボルヴィック」(ダノン社)の水源枯渇が報じられている。周辺の川が干上がり、農業ができなくなるなど問題が出ており、ボルヴィックの工場が水をくみ過ぎたことが原因とされている

 

 

こちらは、フランスのミネラルウォーターブランドであるボルヴィックの水源が枯渇しているというニュースです。

 

 

地域農家や環境活動家たちの強い批判を受け、企業としても説明責任が生じています。

 

 

これとは逆に、地球環境に良い経済活動を行っている企業も、よくメディアに取り上げられるようになりました。

 

 

これらのことから、知名度と消費者選好を上げる一環として、環境を配慮した企業活動というのは積極的に開示していくべきです。

 

 

ただ、有価証券報告書などのようなひな型が指定されている書類では、自社の環境活動について自由に記載することは厳しいものです。(上場企業では監査法人が有価証券報告書を厳しくチェックしていますから)

 

 

それでは、どのように開示すべきか?という疑問に応えるのが、統合報告書です。

 

 

統合報告書とは?

統合報告書とは?

 

 

統合報告書は、企業がいかにして中長期的な価値を創造していくかということをステークホルダーに報告するためのものとして認識されています。

 

 

中長期的な価値の創造といえど、企業活動が異なる以上は価値創造の仕方も異なります。

 

 

つまるところ、統合報告書は自社の企業価値について関係各所にアピールする報告書なのだという風に思っていただいて構いません。

 

 

本来、ディスクロージャーというものは公平・明瞭を保って企業の価値を報告するものですしね。

 

 

逆に言えば、統合報告書が必要とされるまでに有価証券報告書の魅力が落ちてしまったということになります。

 

 

企業活動が全く異なる事業体に、同じひな型での開示を求めることには限界があるのです。

 

 

どのくらいの数の企業が発行しているのか

 

 

国際統合報告評議会(IIRC, 英国拠点の民間非営利組織)から「国際統合報告フレームワーク」が発行されたのは2013年12月の出来事。

 

 

統合報告書を発行する企業が増えてきたため、新たに統合報告書を作成したいという企業のニーズにこたえるため、ある程度のHow toを示したものがフレームワークになります。

 

国際統合フレームワーク

 

 

KPMGが行った調査によると、フレームワークが発行されてから6年、2019年12月時点での統合報告書発行企業の割合は日経225構成銘柄で約78%とされています。

 

 

母数を東証一部上場企業で絞った場合は約22%といまだ高い割合ではありませんが、日本の先進企業が行う取り組みに追随する形で、非上場企業においても統合報告書を発行する企業が増えることでしょう。

 

 

統合報告書には何を記載するのか?

統合報告書には何を記載するのか?

 

では、統合報告書には何を記載すれば良いのでしょうか。

 

 

国際統合報告評議会によって発行されたフレームワークをもとに、記載すべき事項について確認しましょう。

 

 

なお、以下で述べる記載事項は国際統合報告評議会や法律によって強要されるものではないものの、遵守することが推奨されているものです。

 

 

というのも、統合報告書は法的な要請によって作成しなければならない場合もあります(訴訟案件などの強い要請があった場合)。

 

 

Comply or Explain(遵守せよ、さもなくば説明せよ)に則り、必ず遵守しなければならないものではないが、法的な要請があった場合には自分で説明してください。ということです。

 

 

どうしても、という場合を除き、ある程度の形式は守っておくのがベターでしょう。

 

 

記載事項① 戦略的焦点と将来志向

 

 

冒頭で述べたように、国際統合報告評議会は統合報告書の目的を財務資本の提供者に対し、組織がどのように長期にわたり価値を創造するかを説明することであると定義しています。

 

 

具体的には「長期的なビジョンは何であるか」「それを達成するためにはどのような戦略を実行するか」ということを記載することになります。

 

 

この部分を記載する際のコツは、長期的なビジョンや経営理念を達成するまでの今までの取り組み、そしてこれからの戦略をストーリー性をもって伝えることです。

 

 

ストーリーテリングというのは、マーケティングの手法のひとつとして高度に研究された分野でもあります。

 

 

具体的な記載については、専門家に依頼するのも一つの手でしょう。

 

 

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記載事項② 情報の結合性

 

 

この部分の記載は、統合報告書の中でも重要な部分になります。

 

 

具体的には、自社を取り巻く外部環境とそれに影響されるリスクを記載します。

 

 

今年では、新型コロナウイルスによる影響と自社の対応を記載している企業が多く見られました。

 

 

記載する際のコツは、大きく変化するであろう外部環境と、それが自社に及ぼす影響(売上や非財務情報など)を細かく記載することです。

 

 

投資家たちは、過去の情報よりも未来を推測するための情報を欲しているからです。

 

 

サブスクリプションサービスを収入源とする企業では、外部環境の変化によって加入者数がどれほど変化するのかということを記載すると良いでしょう。

 

 

記載事項③ ステークホルダー対応性

 

 

こちらの記載は、ESG(Environment, Social, Governance)でいうところの、G(Governance)に当たる部分になります。

 

 

具体的には、コーポレートガバナンスに関する情報を記載することになります。

 

 

体制図や株主数の推移、内部統制への取り組みや会社監視状況など、自社のガバナンス体制について詳細に記載すべきです。

 

 

記載事項④ 重要性と簡潔性

 

 

フレームワークに掲げられている事項ではあるものの、どちらかというと記載の性質に関する事項であると感じられます。

 

 

具体的には、②で識別した外部環境の変化などのリスクや、それが及ぼす影響について、僅少なものを開示しても意味がないということです。

 

 

ダラダラと僅少なリスクについて記載していては、悠長で退屈な統合報告書となってしまいます。

 

 

そのため、自社に相当のインパクトを及ぼす事象について簡潔に記載すべきであるということです。

 

 

記載事項⑤ 信頼性と完全性

 

 

こちらも④に同じく、別掲して記載すべき事項というより、記載そのものの性質に関する事項です。

 

 

具体的には、自社にとって都合の良い情報のみを開示するのではなく、売上の減少要因などの自社の課題についても開示すべきということ。

 

 

良い統合報告書では、自社の課題などの負の部分についても開示し、それを解決するためにどういう活動を行っているかということを記載して自社の魅力をアピールしています。

 

 

記載事項⑥ 一貫性と比較可能性

 

 

記載事項①に記載した長期的なビジョンと、これまで・これからの取り組みが一貫性をもって伝わるようにしましょう。

 

 

記載事項①で長期的なビジョンを大量に設定してしまうと、経営戦略の一貫性を保てなくなり、会社に中長期的な価値を創造することは困難であると判断されてしまいます。

 

 

それでは、美しい統合報告書とは何か?

それでは、美しい統合報告書とは何か?

 

 

Wemeeでは、様々な業種・業態の統合報告書を分析し、美しい統合報告書とはどんなものかについて日々発信しています。

 

 

統合報告書の記載に迷った際は、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

また、統合報告書のアドバイザリーサービスも承っております。

 

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